家具とは、その国の文化や伝統を表現するものです。家具を見ると、その国の文化がわかります。どの国も自分の国の家具に誇りをもっていることが伝わってきます。けれども、今の日本人が選ぶ家具はブランド重視で、日本の伝統を無視しているように映ります。 宮大工、船大工など、日本には日本が誇るすばらしい職人がいます。私がデザインする家具はスカンジナビアスタイルがベースになっていますが、日本が誇る匠の技を用い、日本の哲学で家具を創っていきたいと思っています。こうした考えから、スチールは一切使わずに日本の家に最も合うムク材を使用。木の組み方には釘を使わない日本伝統の三方留めを用いるなど、目に見えない部分で日本らしさにこだわっています。また、部屋を広く見せる効果と、日本人が座りやすい高さを考え、座面を低く設計しているのも特徴です。 加えて、私がデザインする家具の特徴は、ひとつひとつに物語があることです。 例えば、最新作の「イージーチェアー」は、九州の職人が三方留めを用いてつくった椅子です。微妙な曲線を描いているアーム、細い脚、やわらかな座面、あたたかみを感じさせるムク材の肌ざわりは、女性的な柔らかさを感じさせる作品となっています。手書きのデッサンを忠実に再現したアームに、日本の職人の誇りとデザイナーのこだわりを感じて頂けることでしょう。 私は、人生の転機や気持ちが盛り上がったとき、内面から描きたいという感情があふれ出てこないと家具のデザインはしません。きっと、家具を生み出すということは、私にとって「仕事」ではなく「生き方」そのものなのです。
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